日本には複数の暗号資産(仮想通貨)取引所があり、それぞれ「手数料」「取扱銘柄」「使いやすさ」「安全性」に特徴があります。
これから暗号資産を始めたい人にとっては、「どの取引所を使えばいいのか」が最初の悩みになりやすいところです。
この記事では、国内の代表的な暗号資産取引所として Coincheck / bitFlyer / GMOコイン / bitbank / SBI VCトレード / DMM Bitcoin の6社を取り上げ、手数料・取扱銘柄・特徴をわかりやすく比較します。
初心者でもイメージしやすいよう、「どんな人に向いているか」もあわせて解説していきます。
なお、手数料や取扱銘柄は頻繁に変更されるため、本記事の内容は執筆時点の情報をベースにしています。
実際に口座開設・取引を行う前に、必ず各社公式サイトで最新情報を確認してください。
日本の暗号資産取引所を選ぶ前に知っておきたいポイント
暗号資産取引所と「販売所」「取引所」の違い
まず押さえておきたいのが、「販売所」と「取引所」の違いです。
- 販売所:取引所(会社)を相手に売買する形式。
操作が簡単な一方で、スプレッド(実質的な手数料)が広く、コストが高くなりがち。 - 取引所(板取引):ユーザー同士が注文板を通じて売買する形式。
指値注文などを使う必要があるものの、手数料は安く済みやすい。
「最初はとにかく簡単な方がいい」という初心者は販売所からスタートしつつ、
慣れてきたら板取引(取引所)をメインにしていくのが、コスト面ではおすすめです。
比較するときの主なチェックポイント
取引所を比較する際は、次の4つを最低限チェックしておくと安心です。
- ① 手数料:取引手数料、日本円の入出金手数料、暗号資産送金手数料など
- ② 取扱銘柄数:ビットコインだけでなく、どのアルトコインがどれくらい取引できるか
- ③ 使いやすさ:アプリの操作性、チャートの見やすさ、初心者向けの画面かどうか
- ④ 安全性・運営基盤:セキュリティ対策、金融グループの傘下かどうか、実績など
これらを踏まえつつ、具体的に各社を比較していきます。
日本の主要取引所 6社の比較一覧
まずは、ざっくり全体像がわかるように比較表を見てみましょう(2025年秋ごろの情報を参考)。
| 取引所名 | 取扱銘柄数の目安(現物) | 現物の売買手数料の傾向 | 日本円入出金・送金手数料の特徴 | 主な特徴・強み |
|---|---|---|---|---|
| Coincheck | 約35銘柄 | ビットコイン取引所手数料は基本無料 | 銀行振込入金は無料/出金は定額手数料 | アプリが非常に使いやすく、初心者人気が高い |
| bitFlyer | 20銘柄前後 | Lightning現物の手数料は約0.01〜0.15%(取引量に応じて変動) | 出金・送金手数料はやや高めだが、セキュリティに定評 | 老舗で信頼性が高く、ビットコイン取引量も国内トップクラス |
| GMOコイン | 20銘柄超(国内最多級) | 取引所はメイカーがマイナス手数料になる銘柄も | 日本円の入出金無料/多くの銘柄で送金手数料も無料 | 手数料の総合コストが安く、中〜上級者からの評価が高い |
| bitbank | 40銘柄超 | 板取引のメイカー手数料が-0.02%(マイナス手数料)など | 入金方法により手数料は変動/送金手数料は一般的な水準 | 板取引に特化しており、アルトコインの板も比較的厚い |
| SBI VCトレード | 30銘柄台後半 | 現物取引手数料は原則無料 | 日本円の入出金が無料の条件が多い | SBIグループ運営。ステーキングや貸コインなどサービスが豊富 |
| DMM Bitcoin | 現物 約30銘柄/レバレッジ 約30銘柄超 | 販売所メインでスプレッドは広めだが、レバレッジ取引に強み | 日本円の入出金は無料のケースが多い | レバレッジ取扱銘柄数が多く、中級者〜上級者向き |
ここからは、それぞれの取引所の特徴をもう少し詳しく見ていきます。
各取引所の特徴と「向いている人」
Coincheck(コインチェック)
Coincheckは、スマホアプリの使いやすさで非常に評価が高い国内取引所です。
2025年時点で現物の取扱銘柄数は30銘柄以上と、アルトコインも幅広くカバーしています。
主な特徴は以下の通りです。
- スマホアプリがシンプルで、初心者でも直感的に操作しやすい
- ビットコインの取引所手数料が無料のため、少額からでも始めやすい
- 積立サービスや貸暗号資産サービス、NFTマーケットなど周辺サービスが豊富
- 日本円出金には一定の手数料がかかるため、出金回数はまとめた方がコストを抑えやすい
向いている人のイメージ:
「まずは少額で暗号資産に触ってみたい」「操作に不安がある」「スマホで完結したい」という初心者に特に向いています。
bitFlyer(ビットフライヤー)
bitFlyerは、国内でもっとも歴史が長く、セキュリティや運営実績に強みを持つ老舗の取引所です。
ビットコインの取引量も国内トップクラスで、流動性が高いのが特徴です。
- プロ向け板取引「bitFlyer Lightning」で、ビットコイン現物の手数料は約0.01〜0.15%と、取引量に応じて変動
- 販売所のスプレッドはやや広めなので、可能なら取引所(Lightning)を使った方が割安
- 日本円の出金・暗号資産の送金手数料は他社と比べるとやや高め
- 長年の運営実績と高いセキュリティ評価があり、「安全性重視」で選ぶ人が多い
向いている人のイメージ:
「ビットコインをメインで取引したい」「セキュリティと実績を重視したい」という人に向いています。
GMOコイン
GMOコインは、手数料の総合コストが非常に低いことで有名な取引所です。
取扱銘柄数も国内最多級で、ビットコイン・イーサリアムはもちろん、海外で人気のあるアルトコインまで幅広くカバーしています。
- 暗号資産の送金手数料が多くの銘柄で無料(オンチェーン送金する人には大きなメリット)
- 現物取引の板では、メイカーにマイナス手数料が適用される銘柄もあり、取引すればするほどお得になるケースも
- 日本円の入出金手数料も無料条件が多く、トータルコストを抑えやすい
- 取り扱い銘柄は20種類以上と豊富で、国内ではまだ少ない銘柄も多く上場している
向いている人のイメージ:
「手数料をできるだけ抑えたい」「さまざまなアルトコインを中長期で保有したい」「頻繁にオンチェーン送金をする」という人におすすめです。
bitbank(ビットバンク)
bitbankは、板取引に特化した取引所として知られています。
取扱銘柄数も40種類以上と非常に多く、アルトコイン投資をしたい人からの人気が高いです。
- 現物の板取引で、メイカー手数料が-0.02%(マイナス手数料)になるのが大きな特徴
- テイカーでも0.12%程度と、一般的な水準かやや割安な水準
- チャートや板情報が見やすく、テクニカル分析をしながらトレードしたい人にも向いている
- 販売所よりも板取引メインで使う人が多く、中級者以上に特に人気
向いている人のイメージ:
「板を見ながらしっかりトレードしたい」「アルトコインの現物をコストを抑えて売買したい」という人に適した取引所です。
SBI VCトレード
SBI VCトレードは、その名の通りSBIグループが運営する暗号資産取引所です。
取扱銘柄数も30銘柄台後半と豊富で、ステーキングや貸コインなどのサービスも充実しています。
- 現物取引の手数料が無料で、長期保有メインの投資スタイルとも相性が良い
- 日本円の入出金手数料も無料条件が多く、法人口座にも対応
- 取扱銘柄の中には、ステーキング対象通貨も多く、
「保有しながら利回りを得たい」人にも向いている - 大手金融グループの安心感があり、初めて暗号資産に触れる人にも選ばれやすい
向いている人のイメージ:
「SBIグループの安心感を重視したい」「ステーキングや貸コインで、長期保有しながら増やしたい」という人にマッチします。
DMM Bitcoin
DMM Bitcoinは、レバレッジ取引に強い取引所として知られています。
現物取引の通貨も増えていますが、特にレバレッジの取扱銘柄数が多く、中級者〜上級者向けの印象が強い取引所です。
- 現物取引は20〜30銘柄前後、レバレッジ取引は30銘柄超と非常に豊富
- 日本円の入出金は無料条件が多く、短期トレードを繰り返す人でも使いやすい
- 販売所形式が中心のため、スプレッドはやや広め。
短期の売買を繰り返すなら、スプレッドも含めた実質コストを要チェック - DMMグループのサポート体制や、キャンペーンの多さも特徴
向いている人のイメージ:
「レバレッジ取引で値動きを積極的に取りにいきたい」「アルトコインのレバレッジ銘柄を色々触ってみたい」という中級者〜上級者向けです。
初心者が取引所を選ぶときの考え方
1つに絞らず、用途別に使い分けるのもアリ
暗号資産取引所は、「ここ一択!」と決める必要はありません。
むしろ、次のように用途別に使い分ける方が、リスク分散にもなり賢い選び方です。
- 少額で始めたい&スマホでサクッと触りたい:
→ Coincheck や bitFlyer など、アプリがシンプルな取引所 - 手数料をとにかく抑えたい・板取引をメインで使いたい:
→ GMOコイン や bitbank - 長期保有しつつステーキングなども使いたい:
→ SBI VCトレード など - レバレッジ取引で積極的に取引したい:
→ DMM Bitcoin など
手数料だけでなく「安全性」も必ずチェックしよう
「手数料が安いから」という理由だけで取引所を選ぶのは危険です。
過去には、国内外でハッキング・流出事件も起きており、 どれだけ安全な運営をしているかも非常に重要なポイントです。
- 金融庁に登録された「暗号資産交換業者」であること
- コールドウォレットでの管理割合が高いこと
- 二段階認証(2FA)や、不正ログイン検知機能などがあること
- 過去のトラブルへの対応や、情報公開の姿勢
このあたりも、各社の公式サイトや比較サイト、ニュース記事などでチェックしておくと安心です。
まとめ:自分のスタイルに合った「日本の取引所」を選ぼう
日本の主要な暗号資産取引所には、それぞれはっきりとした個性があります。
- 初心者でも使いやすいアプリ重視 → Coincheck、bitFlyer
- 手数料の安さ・板取引のしやすさ → GMOコイン、bitbank
- ステーキングや長期運用サービス → SBI VCトレード
- レバレッジ取引・アルトコインの豊富さ → DMM Bitcoin
どの取引所が「絶対に正解」というわけではなく、
「自分がどういうスタイルで暗号資産を扱いたいか」によって最適な組み合わせは変わります。
本記事の内容を参考にしつつ、
最後は必ず各社の公式サイトで最新の手数料・取扱銘柄・キャンペーン情報を確認し、納得したうえで口座開設を進めてみてください。
なお、本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、
特定の取引所や暗号資産への投資をおすすめするものではありません。
投資判断は必ずご自身の責任で行うようにしましょう。
