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暗号資産のハッキング事例に学ぶ「やってはいけない」管理方法

暗号資産(仮想通貨)は、資産形成の新しい選択肢として注目される一方で、「ハッキングされたら一瞬でゼロになるのでは?」という不安もつきものです。
実際、世界では毎年のように大規模なハッキング事件や詐欺が発生し、数十億円規模の暗号資産が流出しています。

ただし、その多くは「やってはいけない管理方法」をとっていたことが原因で、少し意識を変えるだけで防げたケースも少なくありません。

この記事では、実際のハッキング事例や統計データをもとに、暗号資産の管理で絶対にやってはいけないことと、初心者でも実践できる安全な管理方法をわかりやすく解説します。

これから暗号資産を始める方も、すでに保有している方も、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

なぜ暗号資産はハッカーに狙われやすいのか

数字で見る暗号資産ハッキングの被害規模

近年のレポートによると、暗号資産関連のハッキングや不正流出で毎年数十億ドル規模の被害が出ているとされています。
特に2024年は、取引所やDeFiプロトコルなどから約数十億ドル相当の暗号資産が盗まれたと報告されており、暗号資産市場が拡大するのと同時に、攻撃の規模も高度化・大型化している状況です。

こうした事件の特徴は、一度盗まれてしまうと原則として取り戻すことが極めて難しいということです。
銀行口座やクレジットカードと違い、「チャージバック」や「送金停止」が効かないため、不正送金を防ぐには、事前のセキュリティ対策がすべてと言っても過言ではありません。

取引所・DeFi・個人ユーザー…狙われる範囲は広い

ハッキングの標的は、大きく分けて次の3つです。

  • 中央集権型取引所(CEX):多額の資産が集中するため、大型ハッキングが発生しやすい
  • DeFi・ブリッジ・スマートコントラクト:プログラムの脆弱性を突かれるケースが増加
  • 個人ユーザー:フィッシングやSNS経由の“だまし”による盗難

国内でも過去に大手取引所から巨額の暗号資産が流出した事件があり、その後、金融庁による規制強化やセキュリティ対策の見直しが進みました。
一方、最近は海外の取引所やブリッジの大規模ハッキング、さらに個人ユーザーへの標的型攻撃も増えています。

代表的なハッキング事例から見える共通点

大規模取引所ハックに共通するポイント

過去の有名な取引所ハッキング事件を振り返ると、いくつかの共通点が見えてきます。

  • 顧客資産がオンライン環境(ホットウォレット)に大量に置かれていた
  • マルチシグ(複数署名)やコールドウォレット管理が十分でなかった
  • 内部管理体制やアクセス権限のコントロールが甘かった
  • セキュリティ監査やシステム更新が後手に回っていた

ユーザー側から見れば、「取引所に置いておけば安心」と思いがちですが、実際には取引所側の管理体制に問題があれば、ユーザー資産もまとめてリスクにさらされるということです。

ブリッジ・DeFiを狙った高額ハッキング

近年は、複数のブロックチェーンをつなぐ「ブリッジ」や、DeFiプロトコルのスマートコントラクトを狙った攻撃も増えています。コードのバグや設計ミスを突かれ、一度に数億ドル規模の資産が盗まれるケースもありました。

こうした事例では、ユーザーが直接「秘密鍵を盗まれた」というより、プラットフォーム側の仕組みが破られ、預けていた資産が流出してしまうパターンが多く見られます。

個人ユーザーへのフィッシング・ソーシャルエンジニアリング

最も身近で、そして厄介なのが、個人ユーザーを狙ったフィッシングやソーシャルエンジニアリングです。
具体的には次のような手口があります。

  • 本物ソックリの偽サイトに誘導し、ウォレットのシードフレーズや秘密鍵を入力させる
  • カスタマーサポートや有名プロジェクトを装ってDMを送り、「確認のため」と称して情報を聞き出す
  • 「エアドロップ配布」「限定キャンペーン」などを装った偽サイトに接続させ、ウォレットに不正アクセス

これらは「技術的なハッキング」というより、“人の心理を突いてだます”攻撃です。
そのため、どれだけ技術知識がある人でも、気を抜くと被害に遭ってしまう可能性があります。

ハッキング事例に学ぶ「やってはいけない」管理方法

1. 取引所に全資産を置きっぱなしにする

もっともありがちなNG行動が、「とりあえず全部、取引所に置いておく」という管理方法です。
取引所は売買や日本円との出し入れには便利ですが、ハッキング・破綻・出金停止などのリスクがゼロではありません。

教訓:取引のための一部だけを取引所に置き、長期保有分はウォレット(特にコールドウォレット)で自己管理するのが基本です。

2. 2段階認証(2FA)を設定しない

ID・パスワードだけで取引所アカウントやウォレットにログインしているのも危険です。
メールアドレス流出やパスワード使い回しがあれば、不正ログインにつながる可能性があります。

やってはいけない例:

  • 2段階認証をまったく設定していない
  • SMS認証だけで安心している(SIMスワップ攻撃のリスク)

対策:できれば認証アプリ(Google Authenticator など)やハードウェアキーを使い、ログイン・出金時の2FAを必ず有効にしましょう。

3. シードフレーズや秘密鍵をオンラインに保存する

「あとで見返せるから」と言って、シードフレーズ(リカバリーフレーズ)や秘密鍵を次のような場所に保存するのは絶対にNGです。

  • スマホのメモアプリ
  • クラウドストレージ(Google Drive、iCloud など)
  • 自分宛てのメール・チャットツール
  • スクリーンショットをそのまま端末に保存

これらは端末の乗っ取りやクラウドへの不正アクセスで丸ごと盗まれるリスクがあります。
シードフレーズは、原則として紙に書いてオフラインで保管し、写真やテキストでオンライン保存しないことが重要です。

4. フィッシングサイトに気づかずログインしてしまう

ハッカーは本物そっくりの偽サイトを作り、検索広告やSNSのリンクから誘導してきます。
URLが1文字だけ異なる、公式ドメインに似せたドメインを使うなど、ぱっと見では違いが分からないケースも多くなっています。

NG例:

  • 検索結果の広告リンクからそのまま取引所やウォレットにアクセスする
  • DMで届いたURLからログインしてしまう

教訓:ブックマークからアクセスする、URLを必ず確認するなど、「自分から正しい場所へアクセスする」習慣をつけましょう。

5. SNSで保有額や取引履歴を自慢する

「今年はビットコインで◯◯万円勝った!」といった投稿は、ハッカーや詐欺師にとっては“おいしいターゲットリスト”になります。
特に顔出し・本名・住んでいる地域などが紐づいている場合、より危険度が高まります。

過去には、暗号資産の大口保有者が物理的な強盗や誘拐の被害にあったケースも報告されています。
オンラインだけでなく、オフラインの身の安全にも影響することを忘れてはいけません。

6. 公共Wi-Fiや共有PCからウォレットにアクセスする

カフェやホテルのフリーWi-Fi、他人と共用しているPCなどから取引所やウォレットにログインするのも避けるべきです。
通信の盗聴やキーロガー、マルウェア感染などのリスクが高いためです。

教訓:暗号資産の操作は、基本的に自分専用の端末+信頼できるネットワーク環境でのみ行うようにしましょう。

7. よく分からないDAppやNFTサイトにウォレットを接続する

最近は、ウォレット接続を求めるDAppやNFTマーケットも数多くあります。
その中には、見た目は普通でも、裏で不正な権限を与えるよう仕組まれているサイトも存在します。

やってはいけない例:

  • プロジェクトの正体を調べず、とりあえずウォレット接続してしまう
  • トランザクション内容を確認せずに「承認」ボタンを連打する

怪しいサイトに接続した後、気づいたらトークンがすべて抜かれていた…という事例も多数あります。
「無料エアドロップ」「高利回り」をうたうサイトには特に注意しましょう。

8. パスワードを使い回す・簡単なものにする

取引所やメール、SNSなど、複数サービスで同じパスワードを使い回すのも危険な行為です。
どこか1つのサービスから情報が漏れただけで、芋づる式に他のアカウントも乗っ取られる可能性があります。

教訓:パスワードマネージャーを利用し、長く複雑なパスワードをサービスごとに使い分けることが推奨されます。

9. バックアップを取らない/1か所にしか保管しない

暗号資産の場合、「忘れたらサポートに再発行してもらう」は通用しません。
シードフレーズをなくしたり、ハードウェアウォレットを壊したりすると、資産に二度とアクセスできなくなる可能性があります。

やってはいけない例:

  • シードフレーズをメモしていない
  • 紙に1枚だけ書いて、その場所も忘れてしまった

教訓:耐火金庫など、安全な複数の場所にバックアップを分散して保存することを検討しましょう。

10. 「家族だから」「友だちだから」とシードフレーズを共有する

どれだけ信頼している相手であっても、シードフレーズや秘密鍵を共有してしまうと、意図しない事故や漏えいの原因になります。
相手の端末がハッキングされた場合、あなたの資産も一緒に危険にさらされます。

シードフレーズは自分だけが知っている最後の鍵です。
誰かと共有しなければならない状況自体が、そもそも危険な状態だと考えましょう。

今日からできる安全な管理のポイント

ウォレットを使い分ける(ホット+コールドの併用)

理想的なのは、次のような使い分けです。

  • 取引・送金用:少額だけを取引所やホットウォレットで管理
  • 長期保有用:まとまった資産はハードウェアウォレットなどコールドウォレットで保管

「全部を一つの場所に置かない」「オンラインとオフラインを分ける」だけでも、リスクは大きく減らせます。

セキュリティチェックリストを習慣化する

次の項目を定期的に見直してみましょう。

  • 取引所・ウォレットの2段階認証はすべて有効になっているか
  • パスワードは使い回していないか/十分に複雑か
  • シードフレーズは紙でオフライン保管されているか
  • 怪しいリンクやDMからログインしていないか
  • 公共Wi-Fiからのアクセスをしていないか

これらはどれも、今日からすぐに見直せる項目です。
「資産額が増えてから考える」のではなく、少額のうちから習慣にしておくことが大切です。

「おかしい」と思ったら、すぐに動く

もし次のような兆候があれば、すぐに対応しましょう。

  • 身に覚えのないログイン通知やトランザクションがある
  • 取引所やウォレットから不審なメールが届いた
  • 普段と違うURLに飛ばされた気がする

まずは残っている資産を別のウォレットや取引所に避難させ、パスワードと2FAを見直します。
同時に、取引所のサポートや必要に応じて警察・専門窓口にも相談しましょう。

まとめ:ハッキング事例は「他人事」ではなく「教科書」

暗号資産のハッキング事例は、一見すると遠い世界のニュースに思えるかもしれません。
しかし、その多くは「管理の甘さ」「油断」「ちょっとしたクリック」がきっかけで起きています。

逆に言えば、

  • 取引所に全額を置きっぱなしにしない
  • 2段階認証を必ず設定する
  • シードフレーズや秘密鍵をオンラインに保存しない
  • 怪しいリンク・DM・広告からログインしない
  • ウォレットを用途ごとに分けて管理する

といった基本を徹底するだけでも、ハッキング被害に遭う確率を大きく下げることができます。

暗号資産の世界では、「自分の資産は自分で守る」という意識が何よりも重要です。
ハッキング事例を“恐怖のニュース”として終わらせるのではなく、“反面教師”として活かしながら、安全で長く続けられる暗号資産ライフを築いていきましょう。

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