最近、「Web3(ウェブスリー)」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
暗号資産やNFT、メタバースなどと一緒に語られることが多く、「なんとなくすごそうだけど、正直よく分からない…」という人も多いのではないでしょうか。
この記事では、「Web3とは何か?」を初心者にもわかりやすく整理しながら、
Web1・Web2との違い、代表的なユースケース、2025年時点のトレンド、今後の可能性までをまとめて解説します。
むずかしい専門用語はできるだけかみ砕いて説明していきますので、
「これからWeb3まわりの勉強を始めたい」という方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
Web3とは?インターネットの「第3世代」をひと言でいうと
分散型で「ユーザーが主役」になるインターネット
Web3(Web3.0)は、ブロックチェーン技術を土台にした「分散型のインターネット」を指す言葉です。
これまでのインターネット(Web2)は、SNSや検索エンジンなどの巨大プラットフォーム企業がデータとルールを握っていました。
それに対してWeb3は、
- データを特定の企業ではなく「ネットワーク全体」で管理する
- ユーザー自身がデータやデジタル資産を所有できる
- ガバナンス(運営方針)は、トークンを持つコミュニティが決めていく
といった特徴をもち、「分散」「ユーザー主権」「所有」がキーワードになります。
Web3を支える3つのキーテクノロジー
Web3の世界を支えている主な技術として、次の3つを押さえておきましょう。
- ブロックチェーン:取引履歴などを改ざんしにくい形で記録する分散型台帳。ビットコインやイーサリアムなどで利用されている。
- スマートコントラクト:条件が満たされたら自動的に実行される「プログラム付きの契約」。DeFiやNFTマーケットなどの根幹になる。
- トークン:ブロックチェーン上で発行される「価値の単位」。暗号資産やNFTなどが代表例で、権利・ポイント・投票券のような役割も果たす。
これらの技術を組み合わせることで、
「誰か一社に依存せず、オープンなルールのもとで動くサービス」を実現しようとしているのがWeb3です。
Web1・Web2・Web3の違いを整理しよう
Web1:読むだけの「静的なウェブ」
インターネット黎明期のWeb1は、「Read(読む)」が中心の世界でした。
企業や個人が作ったホームページを、ユーザーは一方的に閲覧するだけ。コメントや「いいね」などの双方向コミュニケーションはほとんどありません。
- 例:初期の企業サイト、個人ホームページ、ニュースサイト など
Web2:SNS時代の「参加型インターネット」
現在主流のWeb2は、「Read + Write(読む+書く)」が可能になった時代です。
SNS・ブログ・動画投稿サイトなどを通じて、誰もがカンタンに情報を発信できるようになりました。
ただし裏側では、
- ユーザーが投稿したデータはプラットフォーム企業のサーバーに保存される
- 広告ビジネスのために、行動履歴や興味関心が大量に収集・分析される
- アカウント停止やアルゴリズム変更など、重要なルールは企業側が決める
といった構造があり、「便利だけれど、支配も強い」という側面が問題視されてきました。
Web3:Read + Write + Own(所有するインターネット)
Web3は、よく「Read+Write+Own」の時代と表現されます。
Web2のように投稿・参加できるだけでなく、
- 自分のデータや資産をウォレットで直接管理する
- トークンによってサービス運営に参加・投票できる
- 貢献したユーザーに報酬や権利が配分される
といった形で、「所有」と「ガバナンスへの参加」がセットになっているのが大きな違いです。
Web3で何が変わるのか?3つのキーワード
1. データ所有権:プラットフォームからユーザーへ
Web3では、ユーザーは暗号ウォレットを使って、 自分の資産やデータを管理します。
アカウントのログインも「メールアドレス+パスワード」ではなく、 ウォレットアドレスと秘密鍵(シークレットリカバリーフレーズ)で行うケースが一般的です。
これにより、
- サービスが終了しても、自分のトークンやNFTはウォレットに残る
- 複数のサービス間で、同じウォレットを使い回せる(ポータビリティ)
- データやアイテムが「自分のもの」としてブロックチェーン上に記録される
といったメリットが生まれます。
2. トークンエコノミー:ユーザーにも「経済的なリターン」が還元される
Web3サービスでは、トークンを使ったインセンティブ設計が多く採用されています。
例えば、
- サービスの成長に貢献したユーザーにトークンを配布する
- トークン保有者が、手数料収入の一部を受け取れるようにする
- ガバナンストークンで、プロジェクトの方針に投票できるようにする
といった仕組みにより、
「サービスの価値が上がると、コミュニティ全体にリターンが広がる」ことを目指しています。
3. DAO:コミュニティ主体のガバナンス
Web3の象徴的な存在として、DAO(自律分散型組織)があります。
DAOでは、トークンを持つメンバーが提案に投票し、プロジェクトの意思決定を行います。
従来の企業のように「社長や取締役がすべてを決める」のではなく、
- 誰でも提案できる
- 投票ルールはスマートコントラクトで透明に管理
- 議事録や結果はブロックチェーン上に公開
といった形で、オープンでコミュニティ主導の運営を目指しています。
Web3の代表的なユースケース
DeFi(分散型金融)
DeFi(Decentralized Finance)は、銀行や証券会社などの仲介を介さずに、ブロックチェーン上で金融サービスを提供する仕組みです。
- 暗号資産を預けて利息を得る
- 暗号資産を担保にして別の通貨を借りる
- 分散型取引所(DEX)でトークン同士を交換する
といったことが、スマートコントラクトによって自動的に行われます。
世界中どこからでもアクセスできる一方で、価格変動やハッキングなどのリスクもあるため、仕組みの理解が欠かせません。
NFTとデジタル所有権
NFT(非代替性トークン)は、「コピーはできるが、オリジナルは1つだけ」という性質をブロックチェーン上で表現できるトークンです。
- デジタルアートや音楽
- ゲーム内アイテム
- 会員証・チケットのようなアクセス権
など、「唯一性」や「所有証明」が重要なものと相性が良く、
ファッション・音楽・スポーツ・ゲームなど、さまざまな分野での活用が進んでいます。
DAO(自律分散型組織)
先ほど触れたDAOは、Web3における「新しい組織のかたち」です。
投資ファンドやクリエイターコミュニティ、地域プロジェクトの運営など、用途は多岐にわたります。
DAOの特徴は、
- 資金の流れや決定プロセスがオンチェーンで透明化される
- 世界中から参加できる
- トークン保有量に応じて投票権が配分される
といった点で、従来の組織では難しかった「オープンな共同意思決定」を試みています。
Web3ゲーム・メタバース
Web3ゲームでは、ゲーム内アイテムやキャラクターなどをNFTやトークンとして所有し、売買できる点が特徴です。
従来のゲームでは、アイテムはあくまで「運営会社のサーバー上のデータ」でしたが、Web3ゲームではそれがユーザーのウォレットに紐づいた資産として扱われます。
また、メタバース空間での土地やアイテムをNFTとして取引するプロジェクトも登場しており、
デジタル上での「所有」「経済活動」の実験が進んでいます。
分散型ID・ログイン(DID)
Web3では、メールアドレスではなくウォレットアドレスを使ってログインするサービスが増えています。
さらに、ブロックチェーン上で身分証明を行う「分散型ID(DID)」の取り組みも進みつつあり、
- どのサービスでも同じIDでログインできる
- 必要な情報だけを選んで相手に開示できる
といった、プライバシーと利便性を両立したID管理を目指しています。
2025年時点のWeb3の現状とトレンド
世界全体では「実験から実用」へ徐々にシフト
2021〜2022年の「NFTバブル」のような過熱感は落ち着きつつありますが、
2025年現在も、DeFi・NFT・Web3ゲーム・ソーシャル系dAppsなどの分野で開発は継続しています。
特に、
- 複数チェーンをまたいで使えるマルチチェーン対応ウォレット
- ガス代(手数料)を意識せず使えるL2(レイヤー2)や新興チェーン
- Web2的な使い勝手に近づけるためのUX改善
など、「一般ユーザーが使いやすいWeb3」に向けた取り組みが加速しています。
日本でも政府主導でWeb3の社会実装を後押し
日本でも、政府がデジタル政策の中でWeb3やデジタル資産を成長戦略の一つとして位置づけ、
税制や規制の見直し、実証実験の支援などが進められています。
具体的には、
- Web3関連ビジネスのルール整備やガイドライン作成
- 地方創生・観光・コンテンツ産業でのNFT・トークン活用
- デジタル庁や関係省庁によるWeb3プロジェクトの支援
など、「投機だけではなく、社会課題の解決や地域活性化に役立てる」流れが少しずつ見え始めています。
Web3のメリットと課題
Web3のメリット
- プラットフォーム依存からの脱却
アカウント停止やサービス終了のリスクを減らしつつ、自分の資産やデータをウォレットで直接管理できる。 - グローバルでオープンな参加
国籍や居住地に関係なく、インターネットとウォレットさえあれば誰でも参加できる。 - インセンティブ設計の柔軟さ
貢献度に応じてトークンやNFTで報酬を分配するなど、コミュニティ中心のエコシステムが構築しやすい。
Web3の課題
- UX(使いやすさ)のハードル
秘密鍵・シードフレーズの管理、ガス代の仕組み、チェーンの違いなど、初心者には難しいポイントが多い。 - 詐欺・ハッキングリスク
フィッシングサイトや偽アプリ、スマートコントラクトの脆弱性などによる被害が報告されており、自己防衛が必須。 - 規制・法整備が追いついていない部分もある
各国でルール作りが進んでいるものの、税制や法的な位置づけがまだ流動的な分野も多い。
こうしたメリットと課題を理解したうえで、
「一気に飛び込む」のではなく「小さく試しながら理解を深めていく」姿勢が大切です。
Web3をこれから学びたい人が最初にやるべきこと
1. 基本用語と全体像をざっくりつかむ
まずは、次のようなキーワードの意味をざっくり押さえておくと、ニュースが理解しやすくなります。
- ブロックチェーン / スマートコントラクト
- ウォレット / 秘密鍵 / シードフレーズ
- DeFi / NFT / DAO / GameFi など
いきなり細かい技術仕様まで理解する必要はありません。
「どんな問題を解決しようとしているのか」という視点で読むと、Web3の意義が見えやすくなります。
2. 信頼できるウォレットと公式サイトだけに触れる
実際に体験してみることで理解が深まるのも事実ですが、
最初は必ず公式サイトからウォレットアプリをダウンロードし、
不審なリンクやSNSのDMからウォレットを接続しないように注意しましょう。
また、シードフレーズや秘密鍵を絶対に他人に教えないことも徹底する必要があります。
3. 情報源を絞り、煽りではなく「解説」を読む
Web3まわりの情報には、短期的な価格変動を煽るものも少なくありません。
学びの初期段階では、
- 公式ドキュメントやホワイトペーパー
- 実務家・研究者・開発者による解説記事
- 日本語で丁寧に整理された入門ブログ
など、「技術や仕組みを説明している情報源」を中心にチェックするのがおすすめです。
まとめ:Web3は「投機の場」ではなく、インターネットの進化の一段階
本記事では、「Web3とは何か」「Web1・Web2との違い」「代表的なユースケース」「2025年時点のトレンド」を中心に解説しました。
- Web3は、ブロックチェーンを土台にした「分散型でユーザー主権のインターネット」
- Web1=読む、Web2=読む&書く、Web3=読む&書く&所有する世界
- DeFi・NFT・DAO・Web3ゲームなど、実際のユースケースも少しずつ広がっている
- 一方で、UXの難しさや詐欺・規制の問題など、まだ課題も多い
Web3は、決して「一攫千金のための場所」だけではありません。
インターネットがこれからどう変わっていくのかを考えるうえで、非常に重要なキーワードのひとつです。
興味を持った方は、まずは少しずつ情報収集を続けながら、
自分のペースでWeb3の世界をのぞいてみてください。
※本記事は、2025年時点で公開されている情報をもとに一般的な内容をまとめたものであり、
特定の投資やサービス利用を推奨するものではありません。
実際に暗号資産やWeb3サービスを利用する際は、最新の公式情報を確認し、自己責任で判断してください。
